電気毛布は睡眠の質を下げる!?
電気毛布を使うと、寝入りは確かに温かいのですが、熱すぎてぐっすり眠れず夜中に目覚めてしまったという経験はありませんか?人間が快適だと感じる寝床の温度は、約33℃前後と言われており、これより高くても低くても睡眠の質を下げてしまいます。
入眠の妨げになる可能性
人間は、温まった体温が下がる時に入眠しやすいと言われています。寝る前にお風呂に入るとよく眠れるのはこのため。一度上がった体温は約1時間から90分後にゆるやかに下降し始めるため、このタイミングで布団に入るとスムーズに眠りにつけるでしょう。
しかし、電気毛布で布団が必要以上に温まってしまっていると、体温が下がらずに寝つきが悪くなってしまうことも。冬場に布団が冷気で冷えすぎている場合は、寝る前に電気毛布のスイッチを入れて寝床を温めておき、寝る時にはスイッチを切るのが良いでしょう。
ノンレム睡眠の妨げになる可能性
高すぎる寝床の温度は、深い眠りであるノンレム睡眠の妨げにもなります。人間の眠りは、脳は起きていて体が眠っている睡眠である「レム睡眠」と脳も体も眠っている睡眠である「ノンレム睡眠」の2種類があり、7時間程度の睡眠時間で、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に4~5回繰り返されます。
ノンレム睡眠の時間は、疲労回復と成長ホルモン分泌がされる大切な時間。電気毛布は体温よりも高い温度設定にされていて、暑いと感じる寝床の温度は、このノンレム睡眠を阻害してしまいます。
風邪や脱水症状の可能性
気温は明け方に最も冷え込み、体温もそれにともない、最も低いと言われています。そのため、電気毛布を使用し続けたまま睡眠をとると、体が汗をかいている状態で寝ているため、明け方に体が冷えてしまうことになります。逆に寒くて起きてしまったり、体が冷えてしまったりして風邪の原因となることも。
また、汗をかいた状態を長時間続けると、脱水症状になってしまうこともあります。寝ている間はもちろん水分補給はできませんので、知らない間に脱水状態が進行していることも。朝起きたときに喉がかわいている、汗をたくさんかいているという場合は、すぐに睡眠環境を整えることをおすすめします。
動脈硬化が原因の疾患につながる可能性
高血圧や脂質異常症で治療をしている方や、狭心症や心筋梗塞など動脈硬化が原因の疾患を経験したことがある方は、より一層の注意のもとで使用する必要があります。
寝ている間に脱水が進むと、体内の水分が蒸発するので血液はドロドロに。血管がダメージを受けるため、様々な合併症の原因となってしまいます。
例えば、細い血管へのダメージは網膜症や腎症の原因に。また、末梢神経へのダメージは足先など体の末端の壊疽(えそ)の原因となる可能性もあります。太い血管へのダメージは、最悪の場合、狭心症や心筋梗塞のリスクを上げる可能性があり、大変危険です。
このように電気毛布は、一時的に冷えた体を温めたり、足だけなど部分的に使用するのであれば有効です。しかし、睡眠中ずっとスイッチを入れたままにしておくと、体が温まりすぎてしまい、睡眠の質が下がってしまったり、体調悪化の原因となってしまう可能性もあります。
電気毛布の正しい使い方
電気毛布は見た目は布団ですが、毛布の中には電熱線が通っている立派な電化製品。電気毛布をつけたまま寝てしまうのはやはり危険です。
直接肌に電気毛布を当てて寝てしまうと、低温やけどの危険性も。低温やけどは44℃~50℃程度の比較的低温であっても起こるため、ホカホカと温かいからとずっと電気毛布を肌に当てていると、知らないうちにやけどをしてしまいます。冬場のホッカイロを直接肌に貼ってはいけないのと同じ理由です。
電気毛布を正しく使うためにはまず、布団に入る前にスイッチをつけて布団を温めておくこと。約30分~1時間程度つけておけば十分に布団は温まります。寝る時にスイッチを切れば、その後の体温のゆるやかな低下を妨げることもないので、スムーズに眠りに入ることが期待できます。
また、冷え切った手足をピンポイントで温めるために使うのにも電気毛布はすぐれもの。
寝る前に準備するのを忘れてしまった、忙しくて時間がないという方は、タイマー機能を使うなど工夫すると良いでしょう。入眠から約90分後に、1回目のノンレム睡眠が来ますので、そのタイミングで電気毛布のスイッチが切れるように設定すると、ノンレム睡眠を妨げることなく、深い眠りが得られます。
電気毛布以外に睡眠環境を向上させる方法
電気毛布以外にも睡眠環境を向上させる方法はあります。この章では睡眠環境を向上させる寝室の工夫についてご紹介します。
リラックス効果の高い色でインテリアをそろえる
緑色や茶色は草木や土など自然を連想させ、リラックス効果が得られると言われています。カーテンや布団カバーを緑色にしたり、フローリングやタンスなどの家具を木目調にするだけでも、自然にいるようなリラックスした空間を作ることができます。
また青色は冷静さを取り戻し、興奮した脳の働きを鎮静させてくれる作用があると言われています。インテリアとして取り入れるのが難しい場合でも、枕元に青色の洋服を置いたりするだけでも大丈夫。脳の興奮を沈め、心を落ち着かせてあげることで、落ち着いて睡眠に入ることができます。
寝具にこだわる
掛け布団は、季節に合わせて快適に過ごせるように調節することが必要ですよね。毛布の素材を選ぶうえで大切なのは保湿力。毛布は布団だけでは保温力を保てないときに使用する寝具なので、あたたかい空気を逃がさないのが役目です。寒冷地方の一部では、布団の上に毛布を敷いて寝る慣習がありますが、これは毛布で布団の温度、体温を外に逃さないための知恵といえます。
また、寝返りをうちやすくするために、適度な硬さのある敷き布団を選ぶことも大切。人は7時間の睡眠時間のうちに10~15回の寝返りをうつと言われています。柔らかすぎる敷き布団は体が沈んでしまい、寝返りが打ちにくいうえ、体の一部に体重が集中してしまうので、腰や背中を痛める原因ともなります。
櫻道ふとん店の布団は、厚生労働省認定の「ものづくりマイスター」が企画、製作を手掛けており、国家検定一級寝具製作技能士の資格を持つ職人が手作りで布団を製作。寝具を見直すときにおすすめです。
まとめ
睡眠の質を上げるための電気毛布の使い方や、睡眠環境の質を上げる寝具の選び方についてご紹介しました。季節の変わり目は睡眠の質が悪化しやすい時。ぜひ布団を見直して、適温でぐっすり眠れるように工夫してみてくださいね。